「片桐社長が問題ないとお考えでしたら、今日にでも契約を締結できます」羽柴明彦は自信に満ちた表情で言った。この契約が結ばれれば、彼はリトウグループの新しいホテルの10%の株式を手に入れることができる。しかも、それほど大きな労力を費やさずに。
現在建設中の風光ホテルで使用している技術チームが直接リトウの一部の業務を担当し、技術サポートを提供することができる。建築資材についても、サプライヤーから非常に有利な価格で直接調達できる。彼はこれらの事柄を処理するためにさらに多くの人員を投入する必要さえなく、すでに用意された選択肢が目の前にあった。
片桐恭平の眉間はずっと曇ったままだった。どう考えても羽柴明彦が自分を利用しているように思えた。最初は高額で土地を競り落とさせ、次に騒動を起こした群衆の問題を解決する手助けをするという名目で土地の半分を奪い、今度は技術サポートを提供するという名目で10%の株式を手に入れようとしている。どう見ても一つの罠から次の罠へと誘導されているようだ。確かに自分にも問題はあったが、これは偶然にしては出来すぎている。なぜ最終的に彼だけが利益を得るのだろうか?