第281章 彼女を残せない

「ちゃんと仕事しろ！何を騒いでいるんだ！」鈴木主任が事務所から出てきて、我慢の限界に達し、大声で叫んだ。

田中隆は軽蔑するように首を振った。日頃から彼は鈴木主任のような、部下の前では威張り散らし、上司の前では頭を下げるような人間を快く思っていなかった。今は怒りが頂点に達していたので、当然引き下がるつもりはなかった。

「喧嘩してるんだよ、何か問題でも？」彼の口調からすると、まるでこのデザイン部で彼こそがボスであり、他の人間など眼中にないかのようだった。

鈴木主任は手を後ろに組んで近づき、金田凛香と夏目芽依を一人ずつ見渡した後、最後に田中隆に視線を落とした。「ここは会社だ。君たちは仕事をしに来ているのであって、喧嘩をしに来ているわけではない」

「お前みたいな人間が悠々自適に過ごす場所でもないがな」田中隆は言い返した。