深夜、林田希凛は突然腹部に痛みを感じ、トイレに向かおうとしたとき、足の横に冷たいものを感じた。見下ろすと、赤いものだった。
腹痛を我慢しながら何とか若松朱音の部屋のドアをノックすると、朱音はバスローブを羽織り、眠そうな目で彼女を見て、かすれた怠惰な声で言った。「どうしたの、こんな夜中に起きてるなんて?」林田希凛の苦しそうな表情に気づき、視線を下に移した。
「まあ!これは...どこかで転んだの?」
「お腹が痛いの、病院に連れて行って...」林田希凛は腹痛を我慢しながら小さな声で言った。
若松朱音はすでに慌てていた。家の内外の大事なことはこれまで林田植木が一人で処理していて、彼女は何の役にも立っていなかった。林田植木がいなくなってからは、彼女も心の支えを失ったようで、何かあっても決断できなかった。二秒ほど呆然としたあと、彼女は寝室に走り、まず自分の携帯電話を取り、出てきてからもしばらく電話を探していた。