第260章 天から降る幸運

「佐藤さん、これって信頼できると思う?」

佐藤建二は手に持った書類を眉をひそめながら何度も見直し、繰り返し確認した。

「何か言ってよ、たった数行の文字なのに、いつまでも見返す必要ある?」松本愛子が急かした。「向こうは考える時間は二日しかないって言ってるのよ。もう期限が迫ってるわ。あなたはどう思ってるの?」

佐藤建二は手の書類を隣のテーブルに置き、ため息をついた。「なんだか胡散臭く感じるんだよな。」

「胡散臭い?どこが?」

「俺たちはこの病院にもう長くいるだろう。患者だってたくさんいる。凡太の状態は軽くもなく重くもない。特別な人物でもないのに、どうしてこんな大きなチャンスが凡太の頭上に降ってくるんだ?」

「もう、向こうが言ってたでしょ。これは公益事業なのよ。毎年、公益基金から凡太のような状態の患者の治療やケアに使われるって。以前にも事例があったじゃない。」