「夏目芽依、準備はいい?」
夏目芽依は気持ちを落ち着かせた。リトウの責任者に報告するのは初めてではないが、前回の経験は本当に愉快なものではなかった。
佐藤文太は彼女の肩を叩いた。「緊張しないで。もし答えられない質問があったら、僕が助けるから」
実はプロジェクトに関する質問なら夏目芽依はそれほど怖くなかった。このプロジェクトは彼女がチームと一緒に最初から最後まで取り組んできたものだから、他の人が担当した細かい部分を除けば、全体を把握している。しかもリトウの人たちはデザイン方法自体を理解していないので、結果だけを見て、細かい部分については質問してこないだろう。ただ、彼らが理不尽な要求をしてきたり、話をそらしたりした場合の対応が心配だった。
チーム全員の期待を背負っているので、プレッシャーはかなり大きかった。