第274章 本当に無茶だ

「私???」夏目芽依は驚いて目を丸くし、小さな頭を振り子のように振った。「だめだめ、それは絶対にできません。私には首席デザイナーなんてできません。」実際、首席デザイナーという言葉を口にした時点で信じられない気持ちだった。このカレンという人が一体何を考えているのか、こんな的外れなことを言い出すなんて。

彼女とは違い、佐藤文太はすぐには反対しなかった。

「理由は?」

カレンは芽依を見て、微笑んだ。「理由はね、簡単よ。私はこの会社に来たばかりだけど、デザイナー同士の間に強い競争意識があるのは明らかだわ。今、何人かのデザイナーがこのポジションを狙っていて、彼らの経歴や実務経験はほぼ互角で、優劣をつけるのが難しい。だから皆自分には資格があると思っている。あなたが彼らの誰かを選べば、他の人たちから反対される可能性が高いわ。」