第273章 活路を探す

家に帰ると、二人はそれぞれ自分の部屋に入った。

本来は羽柴家の跡継ぎを早く作るという大事のため、羽柴明彦は夏目芽依に主寝室で寝るよう命じていたが、あの酔った夜以来、二人ともこのような関係性に少し居心地の悪さを感じていたようだ。始めるなら、ちゃんと始めなければならない。そこで夏目芽依は再び自分の寝室に戻ることになった。

ちょうどお風呂から上がって浴室で髪を乾かしていると、突然携帯に一つのメッセージが届いた。

「足はまだ痛いの?」片桐恭平からのメッセージだった。

夏目芽依は急いでドライヤーを切り、携帯を手に取った。「だいぶ良くなりました。恭平兄さんの絆創膏ありがとう。」

絆創膏は二の次で、重要なのは世の中にこんなに気配りができて優秀な男性がいるということだ。女性として心から嬉しく思い、ついでに恭平兄さんの将来の奥さんは本当に幸せだなと感心した。こんな優しく思いやりのある完璧な夫はどこにいるだろうか。