第313章 私はもう結婚しています

羽柴明彦は夏目芽依の部屋のドアを押し開けたが、中には誰もいなかった。すでに10時を過ぎていた。

「夏目芽依はどこだ?」

「奥様は金田さんと一緒に出かけられました。遊びに行かれたようです。ご心配なく」と鈴木ママが答えた。

羽柴明彦は窓の外の大雨を見た。彼はちょうど外から帰ってきたところだった。「こんな大雨の中、どこに遊びに行ったんだ?」

鈴木ママはしばらく考えて、「確か金田さんがお友達のホテルのオープニングがあるとおっしゃって、奥様を誘われたようです」

「ホテルに何の面白いことがあるんだ」羽柴明彦は携帯を取り出し、金田直樹に電話をかけた。

金田直樹はちょうど家でゆっくりとお酒を飲みながら人生について考えていた。「どうした、急に私が恋しくなったのか?」

夏目芽依が彼によって朗星を解雇されて以来、羽柴明彦は彼に積極的に連絡を取っていなかった。今となっては冷戦が十分だったようで、和解を求めてきたようだ。