第317章 大いに助けた

朝早く会社に着くと、羽柴明彦は夏目芽依に携帯電話を渡した。「お前の新しい携帯だ」

夏目芽依は黙って受け取り、「ありがとうございます」と言った。

「俺の番号を覚えておけ」羽柴明彦は命令口調で言い、自分のデスクに向かって歩き出した。

夏目芽依は彼の背中に向かって顔をしかめたが、ちょうどノックして入ってきた木村城太に見られてしまい、慌てて頭を下げて仕事のふりをした。

木村城太は彼女を一瞥し、羽柴明彦に近づいた。「社長、これをご覧ください」彼は羽柴明彦に近づき、意図的に声を低くした。

「これはどこから?」羽柴明彦は尋ねた。

木村城太は彼の耳元に寄り、小声で言った。「私たちと関係の良いメディア関係者がこっそり送ってきたものです。本来なら今日の一面だったのですが、何とか押さえ込みました」