夏目芽依は氷水を脇に置き、「大丈夫よ、よく味わってみたら、このジンジャーティーは本当においしいわね。まだあるの?」
「ありますよ、たっぷり一鍋分作りましたから、いくらでもどうぞ」と鈴木ママは言った。「こうしましょう。まず一杯冷ましておいて、ちょうどいい温度になったらお持ちします」
夏目芽依は手を振って、「いえ、そのままでいいわ。このまま温かくしておいて。後で羽柴明彦が帰ってきたら、彼も雨に濡れているかもしれないから、ちょうど彼にも飲ませられるわ」と笑って言った。「もう遅いから、早く休んでください。明日の朝食を作らなきゃいけないんでしょう」
「でも…」
「大丈夫よ、鍋のジンジャーティーは私が見ておくから。このお茶はもともと発汗のためのものだから、冷めたら効果が半減するわ。コンロの火を見ながら、羽柴明彦の帰りを待つわ」と夏目芽依は言った。