第315章 終わった終わった

車が西郊外ヴィラの門に入った。

「見知らぬ車両は登録をお願いします」門の警備員が前に出て車のナンバーを記録し、ついでに中村景吾の身分情報を尋ねた。「お名前、電話番号、身分証番号をお教えいただき、運転免許証をご提示ください。ありがとうございます」

中村景吾は恐怖の表情を浮かべた。彼が普段出入りする場所でもこれほど厳しい要求はなかった。運転免許証まで確認するなんて、ここが住宅地だとは思えず、交通警察の取締所かと思ってしまった。自分は訪問者ではなく、違反運転で捕まったかのようだった。

運転免許証を取り出そうとしたとき、夏目芽依が身を乗り出して言った。「こんにちは、私はここの住人です」

警備員はすぐに彼女を認識した。「羽柴夫人ですか?」

夏目芽依はうなずいた。「そうです。こちらは友人で、今日私を送ってくれました。すぐに出ていきますので、長居はしません」