第290章 実は私も違うんです

隣の二人が盛り上がって話している中、夏目芽依自身は特に何も感じていなかったが、一時的に置き去りにされた中村海斗が気まずく思うのではないかと心配し、自ら話しかけた。「あなたもデザインの仕事をしているの?」

中村海斗は恥ずかしそうに頭をかきながら笑った。「僕は飲食業をやっていて、デザインはやっていないんです。だから、ここであなたたちと一緒に話していいのかな?」

「もちろんいいわよ」夏目芽依も笑った。「実は私も今はデザインの仕事はしていなくて、無職みたいなものなの〜」

この婚活イベントには主催者がおらず、ルールもなく、自分の名前を書いたら自由に行動できるようになっていた。食事をするのも、おしゃべりをするのも、全く制限はなかった。言い換えれば、イベント主催者のサポートはここまでで、あとは各自の腕次第だった。