第365章 損をするわけでもない

「マジで?」金田凛香は興奮のあまり、手に持っていたアイスクリームを落としそうになった。

夏目芽依は急いで手を伸ばして支え、「気をつけてよ、これ今さっき80元もしたんだから」と言った。

「億万長者なのに、こんな小銭を気にするなんて」金田凛香は口をとがらせ、大きなスプーン一杯のアイスクリームを口に入れた。「羽柴明彦のおばあさんが500万元であなたを追い払おうとしたってことは、あなたの価値がそれ以上だってことよ。断ってよかったわ、昔ほど馬鹿じゃなくなったみたい」

夏目芽依は彼女を白い目で見た。「私が断ったのはそんな理由じゃないわよ」

「何が違うの〜」金田凛香は彼女を見つめた。「半年の猶予が欲しいのも、結局は羽柴明彦にデザイン会社を作ってもらうためでしょ。結局はお金のためじゃない」