第366章 自分が嫌い

ドアを開けると、羽柴明彦は心身ともに疲れ果てていた。今日は本来休日のはずで、リラックスする時間であるべきだったのに、彼は自分をリラックスさせることのできない用事を強いられていた。

「お帰りなさい〜」まだ混乱した思考の中にいると、夏目芽依が既に彼を出迎え、甘く微笑んで言った。「鈴木ママが今日、あなたの大好きな小米の冷菓を作ったのよ〜私も手伝ったの。」彼女の口調には少しの誇らしさが含まれており、まるで人の悩みを全て消し去ることができるかのようだった。

羽柴明彦は自分もようやく一息つけたと感じた。

夏目芽依は手を伸ばして彼のスーツの上着を受け取り、脇に掛けると、手を後ろに回して言った。「あなたが好きな料理は何か高級なものばかりだと思っていたけど、こんなものも好きだったなんて。もっと早く言ってくれれば、私ももっと早く作れるようになったかもしれないのに〜」