第367章 最終の決断

羽柴明彦は夏目芽依を見つめながら、彼女についての自分の理解が実は非常に限られていたことに気づいた。少なくとも彼の認識では、このような考えは二十歳そこそこの純粋な女の子が持つようなものではなかった。

「だから私はあなたの立場に立って真剣に考えてみたの」と夏目芽依は続けた。「こんな私はきっとあなたにとって面倒な存在よね」

金田凛香の言葉を夏目芽依は真剣に受け止めていた。羽柴明彦が最初にどんな理由で彼女を助けるためにこのような交換条件を思いついたにせよ、最終的に利益を得たのは彼女一人だけだった。この結婚は、羽柴明彦にとって何の得にもならないはずだ。

「彼が本当にあなたを好きじゃないなら、なぜそこまであなたのためにしてくれるの？暇だからって訳じゃないでしょ〜」と金田凛香はそう言った。「まさか堂々たる風光グループの社長という面子のために、どんな女性を娶ろうと、困難に直面したら見て見ぬふりができないとでも？もしあなたが彼の立場だったら、疲れるわよ」