夏目芽依はまた車の中でぼんやりと座り込み、これからどうすべきか考えていた。
直接会社に戻るにしても、ちょうど昼休みの時間だから、どこかで食事をした方がいい。でも羽柴明彦のこの車は彼女が運転したことがなく、もし不注意で何か問題が起きて、誰かにぶつけでもしたら、自分が責任を取らなければならない。
しばらく考えた末、車を置いて行くことに決めた。
行く前に、もう一度民政局に戻って様子を見たが、中は空っぽで、職員たちも昼食に出かけていたため、仕方なく立ち去った。
十数駅バスに乗り、風光グループのビルの角にある麺屋で急いで昼食を済ませると、夏目芽依は急いで会社に戻った。自分の仕事を続けようと思っていたが、社長室のドアを開けると、自分のデスクがなくなっていた。
すぐにドアの表札を確認したが、確かにこの部屋で間違いなかった。