夏目芽依はバスを降り、足早に団地へと向かった。
団地に入ると、前を歩く人の後ろ姿が妙に見覚えがあり、数歩早足で追いついてその肩を叩いた。案の定、木村城太だった。
「あれ?木村くん〜どうしてここにいるの?」彼女は尋ねた。「金田さんに会いに来たの?」
木村城太は手に持った箱を彼女の目の前で振りながら言った。「いや、羽柴社長に靴を届けに来たんだ。」
夏目芽依はとても驚いた。羽柴明彦が来て彼女が家にいないことを知ったら、すぐに帰るだろうと思っていたのに、もうこんなに時間が経っているのにまだいるなんて。しかも今度は物を届けさせるとは、つまりまだ帰っていないということか。それに靴を届けるって何だ。
「夏目さん、あなたはここで何をしているんですか?」
「ああ、最近は金田さんの家に住んでるの。」夏目芽依は言った。