第409章 励ましが効く

散々手間取った挙句、今日はなんと二人だけの集まりではなかったのだ。夏目芽依は黙って酒を一口飲み込んだ。

「さっきある方法があるって言ったけど、どんな方法なの?」

カレンは神秘的な様子を装い、「後でわかるわよ」と言った。

中村海斗はさすが五つ星ホテルのシェフだけあって、バーでも手慣れたもので、30分もしないうちに、自分が丹精込めて準備した料理を出してきた。「ここは品数が少ないから、とりあえずこれで我慢してね」

夏目芽依は皿の上の焼き子牛タンを驚いた様子で見つめ、一口食べてみた。彼女は元々牛タンが好きではなく、多くの店では上手く調理できずに噛みにくいことが多かったが、この一品は火加減がちょうど良かった。

「美味しい」彼女は中村海斗に親指を立てた。

「彼っていつ来るの?」カレンは急かした。「もう一度電話してみて。私たちずっと待ってるんだから〜」