巨大な閉まるドアの音を聞いて、夏目智子は急いでベランダから走ってきて、まだ半分だけ取り込んだ洗濯物を抱えていた。
「どうしたの?また喧嘩したの?」
「大丈夫よ、お母さん、心配しないで」
「何があったの?羽柴さんが来たのは何のためだったの?どうして急にまた喧嘩になったの?」夏目智子の顔にはまだ心配の色が浮かんでいた。
「何でもないわ、ちょっとしたことよ。これからもう彼は来ないから」夏目芽依は母親の肩をポンポンと叩き、自分が床に撒き散らした紙くずを片付けるために向きを変えた。
夏目智子は黙ってため息をつき、心の中でこの二人が離婚するのは良いことかもしれないと思った。様々な細部から見ても、彼らは本当に性格が合わず、一緒に生活していれば早かれ遅かれ問題が起きるだろう。
夏目芽依は紙くずを拾い終えると、夏目智子がまだその場に立っているのを見て、近づいていった。「もういいから、私のことで心配しないで。ほら、一緒に洗濯物を取り込むのを手伝うわ」