夏目芽依は慎重に箱を開けると、中には美しいダイヤモンドのネックレスが静かに横たわっていた。
彼女はこれほど大きなダイヤモンドを見たことがないわけではなかった。西郊外ヴィラを離れる時にすべてのアクセサリーを元の持ち主に返し、何一つ持ち出さなかったとはいえ、以前イベントに参加した際には一応身につけたこともあり、一目見ただけでこのネックレスが高価なものだとわかった。
彼女は手を伸ばして取ることはせず、むしろ箱の蓋を閉め直し、先ほど片桐恭平が自分に言った言葉を思い出した。
「このプレゼントは受け取ったらあなたのものだから、返すなんてダメだよ」と片桐恭平は言った。「お誕生日おめでとう」
「ありがとう」と夏目芽依は答えた。今年初めて彼女の誕生日を覚えていた人が片桐恭平だとは思いもよらなかった。