「紹介するわ、こちらは晓美、橋本さんの娘よ。そしてこちらは私の孫の明彦くん」と羽柴おばあさんは立ち上がり、満面の笑みで紹介した。今日の食事会は、この二人の若者のために特別に用意されたものだった。
「羽柴明彦です」明彦は進んで手を差し出し、紳士的に橋本晓美の椅子を引いた。「橋本さん、どうぞお座りください」
テーブルを囲んだのは、橋本家の三人と羽柴おばあさんと羽柴明彦の合わせて五人だった。
料理を注文し、お酒を注ぎ、みんなは気軽に会話を始めた。
「明彦くん、あの日の橋本さんのチャリティーパーティーで、なぜあなたを見かけなかったのかしら?」羽柴おばあさんの最初の言葉は責めるようなものだった。
しかし橋本家の人々から見れば、これは彼らに説明を与えるためのものだった。羽柴おばあさんは常に物事を周到に行い、他人の心に疑問があれば、必ず解決しようとする。他人が口を開くのを待つことはない。