羽柴明彦は黙り込んだ。まさか自分のような七尺の大男が一人の女に脅されるとは思いもよらなかった。しかし会社の発展のことを考え、彼はとりあえず我慢することにした。
「これだけ?」
橋本晓美はうなずいた。「そう。どうせあなたにとって何の損もないし、ついでに私に恩を売ることもできる。やらない理由はないでしょう?」
羽柴明彦は少し考えて、彼女の言うことにもっともだと思った。
「今回は手伝ってあげるけど、これからはどうするの?」
「それはその時考えればいいわ。まずは今日を乗り切りましょう」橋本晓美は微笑んだ。「両親が必死に設定してくるこの種のお見合いにもう参加したくなかったから、あなたに助けを求めたのよ」
二人はようやく合意に達し、レストランへ向かった。
テーブルでは三人の年長者が楽しく談笑していた。お見合いの良いところは、家族の同意を心配する必要がないことだ。