第447章 黙って、車を走らせろ

夏目芽依がオフィスに入ってきたとき、羽柴明彦は彼女が今日は自分と条件について話し合いに来たのだと思った。結局のところ、4000万は小さな金額ではなく、彼女がどうあっても自分で用意できるはずがない。そして彼女が知っている人の中で、誰が自分よりもこの頼みを聞くのに適しているだろうか。しかし、彼に助けを求めてこの金を出してもらうなら、当然何かと交換する必要がある。彼はそれに対して十分準備していた。

羽柴明彦は落ち着いて机に座り、頭を上げることも、自分から話しかけることもしなかった。頼みに来るのは夏目芽依なのだから、彼はただ静かに待ち、クールな態度を保っていればよかった。

しかし、予想していた会話は起こらなかった。夏目芽依は机の前に歩み寄り、一枚の薄い紙を彼の目の前に置いた。羽柴明彦は横目でそれを見た。