家に帰ると、夏目芽依は玄関に置かれた男性用の革靴を一目で見つけた。
部屋に入ると、案の定、高橋山雄がソファに座ってくつろぎながらお茶を飲んでいた。彼女が入ってくるのを見ると、すぐに笑顔になり、「芽依、帰ってきたか?」と言って、壁の時計を見上げた。「こんなに遅いなんて、女の子が毎回こんな時間に帰るのは危ないよ。」
「今日は特別な事情があったんです。普段はこんなに遅くないです。」と夏目芽依は答えた。心の中では、こんな遅くにあなたはなぜ帰らないのかと思ったが、人の世話になっている身としては、高橋山雄に対する態度は非常に丁寧だった。
夏目智子が声を聞いて部屋から出てきて、夏目芽依に声をかけた。「芽依、早く来て座りなさい。」
夏目芽依は近づいて一人掛けソファに座り、夏目智子が高橋山雄の隣に立つのを見た。まるで彼と同じ陣営に立っているかのようだった。