第434章 一杯の酒で千の憂いを解く

二人が話している間に、客たちはレストランへと移動し始めた。

橋本会長は再び厳しい表情に戻り、「君はいつ来たんだ?」と羽柴明彦に尋ねた。

彼が答える前に、橋本晓美は口をとがらせて言った。「お父さん、私が自分で入場方法を選べるって言ったじゃない。なのにどうして今そんな顔をしているの?まるで気に入らないみたいじゃない」

橋本会長は少し困った様子だった。彼がそう言った時、自分の娘がこのような状況で二人の関係を公にするとは思っていなかった。これではニュースになって大々的に宣伝されるのを待っているようなものだ。しかも、女性に対する悪意は男性に対するものよりも大きいことが多い。ニュースが出れば、焦点がどこに当たるかは今でも予測できた。

「橋本おじさん、考えすぎですよ。今日は友人として橋本さんに同行しただけです」と羽柴明彦は言った。「他に用がなければ、先に行きますね」彼は晩餐会の方向を指さして、立ち去った。