「本当に申し訳ありません…」物を拾い終えると、夏目芽依はその人に再び謝罪し、それから片桐恭平の方へ歩いていった。
「入りなさい」片桐恭平は片手でオフィスのドアを開けながら言った。振り返ると、オフィスの人々が次々と視線を向けてきたので、彼は顔を引き締め、厳しく言った。「仕事に集中してください」
ドアを閉めると、部屋には二人だけが残った。
「どうやら会社のセキュリティ強化が急務のようだね、君までも入れてしまうなんて」片桐恭平は笑いながら言ったが、突然夏目芽依が着ているグレーブルーのパーカーがとても見覚えがあることに気づいた。「これは私のクローゼットから出てきたものじゃないか?」
夏目芽依はうなずいた。「そうよ、昨日着ていたスカートが見当たらなくて…あれ」彼女は突然何かを思い出したように言った。「昨夜一体何があったの?なぜ私はあなたの家で寝ていたの?」