第439章 まさか私のせいじゃないよね

「あれ?あそこにどうしてあんなに人が集まっているの?」車の中で、夏目芽依は団地から遠くない角の交番の前に人が溢れているのに気づいた。何か大きな事件でも起きたかのようだった。

「おそらく何かニュースになるようなことがあったんだろう」片桐恭平は運転しながら言った。「今の時代は、ちょっとしたことでも大騒ぎになりやすいからな」

「そうね」夏目芽依はうなずいた。「今日はごちそうさまでした」

片桐恭平は彼女の方を向いて言った。「昨日着ていたドレスと靴はクリーニングが終わったら直接届けるよ」

その話題になると、夏目芽依は顔を赤らめ、ためらいながら口を開いた。「私、昨日...本当にひどく吐いたの...?」

片桐恭平は意味深な笑みを浮かべた。彼女はすぐに口を閉じ、それ以上は聞かなかった。心の中で自分に言い聞かせた。知らないほうがいい、恥ずかしいことは自然と忘れてしまおう。しかし、自分もよくやったものだ、あんなに失礼なことをしたのに全く記憶がないなんて。