第440章 何を笑っているの

道中、夏目芽依はネット上で自分に関連するデタラメなニュースをすべて見ていた。灰姫がお金持ちの夢を砕かれて現実に戻ったとか、実際には彼女とは何の関係もない人たちが、競うようにして興奮していた。

「お願いだから、間違ったことをしたのは私じゃないのよ…」彼女は小さく溜息をついた。自分が間違ったことをして非難されるならまだ我慢できるが、今回は他人が間違ったことをしたのに、非難されるのはまだ自分だった。この世界はあまりにも不公平だ。以前は人間がお金に対してここまで偏見を持つとは思わなかった。

風光グループに到着すると、彼女は顔を隠しながら直接60階へ向かったが、誰もいなかった。

羽柴明彦は彼女を呼び出しておきながら、自分は各部門の幹部と定例会議に出ていた。

夏目芽依がここで待つべきか、それとも自分のオフィスに戻って仕事をするべきか迷っていると、木村城太がドアを開けて入ってきた。