第459章 突然の成功

金田家の松の香りがする客室に横たわりながら、羽柴明彦はなかなか眠れなかった。おそらく夜に飲み過ぎたせいだろう、半分酔っ払っているよりも完全に酔っ払って頭を下げて眠った方が、悩み事を少なく考えられるのにと思った。

「結局、いつから夏目さんに感情を抱くようになったんだ?」彼は金田直樹が夜に尋ねてきた言葉を思い出した。心配というよりも、好奇心の方が大きかったように思える。

「俺にもわからない」

羽柴明彦は本当のことを言った。彼はいつから夏目芽依に感情を抱くようになったのか分からなかった。そしてその感情さえも最近になって確信したものだった。夏目芽依のどこがそんなに良くて、彼のような男が好きになる価値があるのか、今でも理解できていなかった。

「それが一番やっかいなんだよ」金田直樹は真面目な顔で言った。「なぜかわかっていれば解決策もあるだろうが、なぜかもわからないとなると、彼女は本当に運命の天敵かもしれない。豆腐に卤水(ルースイ)をかけるという言葉を聞いたことがあるか?」