「これはあなたに。」羽柴明彦は小切手を夏目芽依の机に置いた。「4000万、一銭も少なくない。」
夏目芽依は小切手を手に取り、真剣に見つめた後、やはり置き直した。このお金があれば高橋山雄にすぐに返せるのだが、今彼女はこの小切手が熱く感じられた。
「何か問題でも?」彼女が黙っているのを見て、羽柴明彦は尋ねた。
「このお金を持っていて心が安らぐの?」夏目芽依は顔を上げて彼を見た。「これは人の感情を騙して得たものよ。」
羽柴明彦は肩をすくめた。「そうは思わないけど。」
彼は身を翻して外に出ようとしたが、突然夏目芽依に呼び止められた。「風光グループの新しいウェブサイトはもうすぐ完成します。来月の検収が終わったら会社を辞めるつもりです。前もってお伝えしておくべきだと思って。」夏目芽依は彼の背後から言った。