この夜、普段は言えないか、言う機会のない本音をどれだけ話したことか。いつの間にか会話の声はだんだん小さくなり、二人はそのままテラスで眠りについてしまった。
朝の5時過ぎ、夏目芽依は鳥のさえずりで目を覚まし、目を開けて驚いた。
自分がこうして椅子に丸くなって一晩中眠っていたなんて。振り返ると、羽柴明彦はまだ夢の中にいるようで、彼女よりずっと熟睡していた。
「あいたっ…」彼女が首を回そうとしたが、長時間同じ姿勢を保っていたため首を痛めてしまい、今は30度しか動かせなかった。
夏目芽依は首を押さえながら、慎重に立ち上がり、身に着けていた上着を椅子の背もたれに掛け、つま先立ちでそっと部屋を出た。夏目智子が目を覚ます前に家に帰らなければならない。さもなければ、バレてしまうだろう。もし母親が彼女が一晩中帰っていなかったことを知れば、きっと根掘り葉掘り聞かれることになる。