第467章 どうして約束を破れるの

寝室に入ると、羽柴明彦はベッドに横たわり、呼吸は規則正しく、すでに眠っているようだった。

夏目芽依はスープの入った器をベッドサイドテーブルに置き、今彼を起こすべきかどうか考えた。起こせば怒るかもしれないし、起こさなければスープが冷めて、それでも怒るかもしれない。どうやっても危険があるように思えた。

ベッドサイドテーブルの一番上の引き出しが少し開いていて、夏目芽依は何気なく目をやると、中に見覚えのあるものがあることに気づいた。取っ手を引っ張ると、以前の高価なジュエリーボックスがそこに収まっていた。

「あれ?」夏目芽依は羽柴明彦に近づき、彼が熟睡していて突然目を覚まさないことを確認してから、そのジュエリーボックスを手に取り、そっと開けた。

目の前にあるのは、先日彼女が紛失し、仕方なく買い直したはずのジュエリーセットだった。これは菅原萤子に売ったはずではなかったか?夏目芽依は非常に困惑した。このことで羽柴明彦と大喧嘩したのに、もしかしたら彼が良心の呵責を感じて買い戻したのだろうか?