二人が病院の入り口に入り、エレベーターに向かうのを見て、夏目芽依は急いで追いかけようとした。
羽柴明彦はすぐに彼女の腕を掴み、注意した。「そんなことをしたら気づかれるぞ」
夏目芽依は振り向いて彼を見つめ、困惑した表情で言った。「彼らに見つかってもいいじゃない?」
「見つかっても構わないなら、さっき彼らが入ってくるのを見たとき、なぜ隠れたんだ?」羽柴明彦は尋ねた。「彼らがここで何をしているのか分からないからじゃないのか?」
夏目芽依は彼を見て、「違うわ。私は手をやけどしたことを知られたくなかっただけ。説明できないから」と言い、怪我した手を羽柴明彦の目の前に掲げた。「それに、あなたと一緒にいるところを見られたら、母は絶対に色々質問してくるわ。でも今は違う。一人で行って適当な理由を言えば、彼らは疑わないわ」