夏目智子は約一ヶ月半前に体調不良を感じ始めた。彼女はそれほど年齢が高くなく、これまで健康状態も良好で、風邪や熱を出すことも稀だったが、最近は原因不明のめまいや腰痛に悩まされていた。時には市場で買い物をした帰り道、半日休まなければ立ち上がって歩き続けることができないこともあった。彼女は体力がそれほどあるわけではないが、決して虚弱体質というわけでもなかった。
最初に病院に行った時は通常の検査しか行わず、明らかな異常は見つからなかった。ただ血液検査の数値が少し正常値から外れていたが、彼女は体の周期的な変化のせいだと思い、あまり気にしていなかった。
ちょうどその頃、高橋山雄が事業をこの市に戻す準備をしていて、二人は会う約束をした。彼の勧めで、彼女はようやく病院でより詳細な検査を受けることにし、その時に病気が発見された。