「ちょっとここで待っていて、すぐに戻るから」簡単に言い残し、夏目芽依は車のドアを開けて降りた。
玄関の前に立ったが、躊躇した。
車の中では何を言うか考えていたのに、いざ玄関に来ると気後れしてしまう。今からでは遅すぎるかな?やっぱり明日にしようか…
迷っていると、突然玄関のドアが開いた。鈴木ママが台所のゴミを片付け終わり、玄関先の分別ゴミ箱に捨てようとしていたのだ。
玄関に人が立っているのを見て、彼女はびっくりした。
「私よ…」夏目芽依は急いで言ったが、もう遅かった。
鈴木ママは驚いて、反射的に手に持っていた生ゴミの袋をすべて彼女の頭上に投げつけてしまった。夏目芽依はこんなことが起こるとは全く予想していなかったので、手で防ぐこともできなかった。二人は同時に固まった。