第523章 それなら私は暗記します

「両方とも読み終わったの?」羽柴明彦は眉を上げた。この本を渡してからまだ二日しか経っていないのに、しかもこの二日間彼女はよく外出していたのに、この決して薄くない二冊の本を読み終える時間を見つけられたなんて、本当に驚くべきことだった。

夏目芽依は頷いた。「うん、全部読んだよ。」

羽柴明彦の疑わしげな目を見て、彼女は気づいた。彼は自分を信じていないのだ。なんだか腹が立った。

「じゃあ、ちょっと試してみよう。」羽柴明彦は本を脇に置き、姿勢を正し、夏目芽依の返事を待たずに質問を始めた。「マーケティングの三要素は何?」

「え?」夏目芽依は心の準備ができておらず、突然そんな質問をされて固まってしまった。「マーケティングの三要素か...」彼女はこの質問の答えを確かに本で見たはずだと確信していた。