第527章 経費を精算して

夏目芽依はオフィスに戻ると、気分はあまり良くなかった。

彼女には分かっていた。若松結衣が先ほど明らかに自分を当てつけていたことを。もしこのような状況がまた起これば高橋山雄に告げ口するつもりだと。彼女はこの娘と最近になって血縁関係を知ったばかりだが、やはり血のつながった家族である。この若松結衣は何様のつもりで、自分より高橋山雄との関係が良いと思っているのか。ただ会社に貢献してきた年数だけで？それはあまりにも奇妙だ。

「社長業って本当に難しいわね…」彼女は思わずため息をついた。

一日の仕事をまだ処理し終えていないのに、夏目芽依はすでに頭を抱えていた。うまくできているかどうかはさておき、これらの終わりのない契約書類を見るだけでも彼女には大変な作業だった。

最後には仕方なく、秘書を呼び入れた。