病室に入ると、佐藤凡太はまだ一人でベッドに静かに横たわっていた。音もなく、以前と変わりはなかった。
「座って」松本愛子が言い、テーブルの上の果物を手に取り、隣の洗面所で洗おうとした。
夏目芽依は急いでそれを受け取った。「私がやります」
「いいのよ」松本愛子は譲らなかった。「あなたはお客さんだし、凡太に会いに来たのだから、こんなことをする必要はないわ」
夏目芽依は手を下ろした。以前松本愛子と衝突していた時の方がまだ良かったと感じた。今はむしろ、二人の間に本当の疎遠さがあった。
彼女はベッドの側に行き、佐藤凡太の顔を見下ろした。かつては非常に馴染みのあった顔だったが、今見ると少し見知らぬ感じがした。凡太は自分で食事ができず、栄養液に頼って生きていた。一年にわたる病室生活で彼の肌は非常に白く、ほとんど透明になっていた。