「羽柴社長、こんなに古い携帯電話では、厳しいでしょうね」木村城太は言った。「なんとか充電はできましたが、どう操作しても反応しません」
羽柴明彦は顔を上げた。「修理に出さないのか?」
木村城太は困った顔をした。彼は秘書として、運転手や家政婦を兼任するだけでなく、様々な雑用も処理しなければならず、今では携帯電話の修理までも仕事に加わってしまった。
「羽柴社長、それはあまり良くないと思います。ご存知の通り、携帯電話やパソコンの修理は信頼性に欠けます。もし修理屋が勝手に写真や動画を盗み見たら...あの武田先生のことを思い出してください。パソコン修理だけで、キャリアが一気に転落して、今でも立ち直れていません。この携帯はあなたのものではないですし、もし万が一...」
彼の心配はもっともだったが、羽柴明彦は眉をひそめた。「余計なことを言うな」