第552章 一緒に行かない?

「おじさん、知り合いがたくさんいるんだから、ちょっと聞いてみてくれない?」

夏目冬美は顎を支えながら長い間聞いていたが、要点が分からなかった。「聞くって、誰に?」

「5号棟の探偵事務所のことよ〜」夏目芽依はため息をついた。「こんなに話したのに、何を聞いていたの?」

高橋山雄が戻ってきてから、彼のために新しい家を用意してくれて、夏目冬美はすでに家族と一緒に新居に引っ越していた。以前の80平方メートル未満の古いアパートにはもう住んでいなかった。

「ああ、長い間聞いてやっと分かったよ。前に住んでいた古い家のことか?」

夏目芽依は本当に言葉を失った。彼女のおじさんは悪い人ではなく、親切な人だが、抜けているところがあり、話すことも行動もあまり頼りにならない。もし以前に羽柴明彦から探偵事務所のことを聞いていなかったら、その探偵事務所が夏目冬美が以前住んでいた古い団地にあることを知らなかったら、わざわざ来て聞くこともなかっただろう。