第565章 故意ではなかった

ドアの外から音がしないのを聞いて、カレンは金田直樹がついてこなかったことを確認し、バッグから携帯を取り出した。「お兄ちゃんが寝たら連絡するから、いつでも準備してね~」

最後の明かりが消えるのを見て、車に残っていた中村海斗はドアを押し開け、裏口まで歩いていき、手で引くとすぐに開いた。これはカレンが前もって彼のために開けておいたドアだった。

裏口はキッチンに直接つながっており、家の中は真っ暗だった。二階の人を驚かせないように、彼は明かりをつけず、携帯のライトを照らしながら歩いた。

うっかりキッチンのリサイクルゴミ箱を蹴ってしまい、中村海斗はびっくりして、足を止め胸に手を当てた。

カレンと一晩過ごすためにこんなリスクを冒すとは思わなかった。もし金田直樹に見つかったらどれほど恥ずかしいことになるか、本当に...言葉もない。こんなことは二度とないだろう、今日は彼女の強い要望に負けて来ただけだ、と彼は密かに思った。