第564章 私を煩わせないで

「今日からあなたは私の部下として市場部の一般社員よ。何か質問はある?」

夏目芽依はすぐに首を振った。「ありません」

若松結衣は細長い指でデスクを軽く叩きながら言った。「あなたは以前UIデザインを学んでいたそうね、この仕事とは全く関係ないわ。高橋社長があなたをここに配属した意図は分からないけれど、私はあなたも他の社員も平等に扱うわ。特別扱いはしないから」

「はい」夏目芽依はいわゆる特別扱いにはもううんざりしていた。むしろ平等に扱われ、普通の社員として見てもらえることを望んでいた。

「では、とりあえずあなたはマーケティング部で、新製品の宣伝と販促を担当してもらうわ。詳細はチームリーダーから説明してもらうわね」若松結衣は立ち上がった。「ついてきて」

夏目芽依は彼女について廊下を通り、三つ角を曲がって、今まで行ったことのないエリアに入った。