第567章 それはあなたに任せるわ

夏目芽依は慎重に考えた末、とにかく一度羽柴明彦に会って、何が起きているのか確かめることにした。

羽柴明彦のような人が家出するなんて?あの夜二人が喧嘩したことが原因なのだろうか?どう考えてもおかしい、そこまで深刻な状況ではなかったはずだし、そんな行動は彼のいつもの振る舞いとは全く合わない。

ただ、他人の家に直接行って恥をかくのは避けたかった。色々考えた末、早めに仕事を切り上げて風光グループで彼に会い、少なくとも状況を把握してから次の行動を決めることにした。

「ここで少し待っていて」彼女は運転手に言い、車のドアを開けて風光グループへ向かった。

羽柴明彦は会議室で会議中だった。ガラスのドア越しに彼女が通り過ぎるのを見て、一瞬自分の目を疑った。

1分後、木村城太がドアをノックして入ってきて、彼の耳元で小声で言った。「夏目さんがいらっしゃいました…」