第579章 このコーヒー、入れ直して

翌日の朝、食卓に座った夏目芽依は羽柴明彦の一挙一動を注意深く観察し、彼がコーヒーカップを置くと、すぐに自分も箸を置いた。「お腹いっぱい」

「奥様、今日はお粥を一杯しか飲んでないわよ〜」鈴木ママが傍らで言った。「いつもは二杯は飲むのに、たった一杯でどうして満腹になるの〜」

「最近ダイエット中なの」と夏目芽依は言った。「それに夏が来て、暑くて食欲が落ちるのは当然よ」

鈴木ママは横に置かれた肉まんの籠が空になり、二つ目の籠も半分以上なくなっているのを見て、言おうとしていた言葉を飲み込んだ。要するに肉まんをたくさん食べてお粥が入らないだけなのね。ダイエットしたいと言うなら、そうなのでしょう。

羽柴明彦が立ち上がり、うがいをして服を着替えるのを一気に済ませ、ドアを出ると夏目芽依がすでに玄関に立っているのを発見した。長い間一緒に暮らしてきて、彼女は羽柴明彦の日常の習慣をすでに熟知していた。これも彼の変わらない生活様式のおかげで、規則性を見つけるのが容易で、必要な時に慌てずに済むのだ。