第589章 人に会わせる顔がない

夏目芽依は車の中に座り、不安げに知らせを待っていた。彼女はすでに車の中で十数分座っていた。すぐに解決できるはずだったのに、どうしてこんなに時間がかかるのだろう？

彼女が頬杖をついて眉をひそめながら遠くの街並みをぼんやり見ていると、ようやく車の窓がノックされた。

振り向くと、羽柴明彦の秘書助手が今、車の外に立っていた。

夏目芽依はすぐに窓を下げ、秘書が手渡してきたものを受け取った。「夏目さん、この発注書には羽柴社長がすでにサインしています。どうぞお受け取りください」

手元の無傷で羽柴明彦のサインが押された発注書を見て、夏目芽依は内心喜びに震えた。「ありがとうございます！」

運転手は車をボックスマニアプレイ株式会社の入り口に停め、振り返った。

「夏目さん、夕方6時にまたここでお待ちしています」