「旦那様、もうスープをお足しいたしましょうか?」鈴木ママが尋ねた。
羽柴明彦は首を振り、再び視線を玄関の方へ移し、外の物音に耳を澄ませていた。
彼のその様子を見て、鈴木ママは彼が夏目芽依の帰りを待っていることを察した。
「旦那様、奥様は今晩ご実家で食事をされると仰っていました。おそらくしばらくお話をされて、遅くなるかもしれませんよ」
羽柴明彦はすぐに視線を戻し、不自然に二、三度咳をした。
「もう食べ終わった」彼は立ち上がり、書斎へ直行して自分を中に閉じ込めた。
恋愛心理テストを手に取り、一ページずつめくっていくと、めくるたびに額に新たな冷や汗が浮かんだ。
気づかないうちに、このテストをこんなにたくさんやっていたのだ。しかも彼は何事も真面目にやるタイプで、自分が選んだ項目に丸をつけるだけでなく、必要な箇所には注釈まで加えていた。これらはもともと自分自身のために書いたものだったが、今や他人に見られてしまい、恥ずかしさで溺れそうになっていた。