鈴木ママは小豆スープを持って書斎に入り、羽柴明彦の机に置いた。
「旦那様、奥様がお帰りになりました」
羽柴明彦は手元の資料を置き、顔を上げて尋ねた。「いつ帰ってきたんだ?」
「しばらく前です。疲れたからお風呂に入りたいと仰っていました。今はもう入り終わったころでしょう」と鈴木ママは言った。
「わかった」
羽柴明彦は小豆スープを手に取り、一気に飲み干すと、空の器をトレイに戻した。「もう遅いから、あなたも早く休みなさい」
夏目芽依はバスルームの鏡の前に立ち、丁寧にボディローションを塗り、フェイスマスクをし、髪を乾かした。弾力のある滑らかな肌に触れ、気分は最高だった。
他人が自分に優しくなくても、自分は自分に優しくあるべきだ。そうでなければ、この人生は損をしてしまう。