第12章

……「石塚千恵は顔を赤らめ、この友人を見ることもできず、黙って食べ始めた!

鈴木越哉は義理堅く、性格も穏やかだった。

彼は橋口俊樹とよく一緒に食事をし、お酒を飲み、球技をし、トランプで遊んでいた。

そのため普段から石塚千恵は彼と接する機会が多く、親しい友人にもなっていた!

だから今夜トラブルが起きたとき、あれこれ考えた末、彼に助けを求めることにしたのだ。

不思議なことに、彼女は本来なら彼を嫌うべきだったはずだ。なぜなら橋口俊樹が彼女を裏切ったとき、彼もたいていそれに加担していたからだ。

しかしそれを除けば、彼は本当に素晴らしい人で、嫌いになれない人だった!

それに、橋口俊樹が彼女を裏切り、復讐しようとするなら、彼がいなくても同じことをしただろう。

彼が何も言わないことを知っていても、石塚千恵はつい頼んでしまった。「このことは彼に知らせないでください!」

「安心して!」

「ありがとう!」心が少し落ち着いた!

鈴木越哉は飲み終えた紙コップを置き、意味深に尋ねた。「これは何回目?」

「もちろん初めてよ!」石塚千恵は食べるのもやめて、急いで釈明した。

「以前にワンナイトスタンドはあった?」彼は追及し続けた。

「ないわ」石塚千恵の声は小さかったが、表情は率直だった。

鈴木越哉は彼女の表情を見て、ますます驚き、ますます信じられなくなり、最後には顎が落ちそうになった。「君も本当に我慢強いね、よく耐えられるね?これだけ長い間見てきて、今になってようやく衝動に駆られるなんて?まさか。君は、君は本当に感情を持った若者なの?26歳の美しい人妻なの?それとも62歳のしわだらけのおばあさん?」

彼は橋口俊樹が彼女に触れないこと、また他の人にも触れさせないことを知っていた!

石塚千恵は落ち込んだ表情で、軽くため息をついた。

「俊樹兄さんは本当に幸運だね、君をこんな風に扱っているのに、君はまだ一途に彼のために身を清く保っている!

ランボルギーニは人気のない通りを走り抜けていた。

天井の窓を見上げる石塚千恵の脳裏には、6年前の事故の記憶が蘇ってきた。あの一瞬は、彼女の心に永遠に刻まれていた。