むせた橋口俊樹は友人を押しのけ、激しく罵った。「ゴホゴホ、殺す気か?」
鈴木越哉は彼の不満を聞いていないかのように、空っぽになった大きな器を見て、かなり満足そうだった。「悪くない、少なくとも半分は飲めたな。半分でも二日酔いを覚ますには十分だろう!」
そのとき、橋口俊樹のある女友達から電話がかかってきた。
「橋口兄さん、早く助けてよ。さっきまた警察が検査に来て、私の下で働いている五、六人の子たちが全部捕まっちゃったの。早く何とかしてよ、このままじゃどうすればいいの?もう生きていけないわ」
ただでさえ酒をたくさん飲んでいたのに、今度はこんな風に泣かれて、本当に頭が割れそうだった。
「わかったよ、今すぐ誰かに頼んで処理させる!」
今日は何の良い日なんだ、まだ夜が明けてもいないのに、こんなに騒がしいとは!
「ありがとう、橋口兄さん、早く来て……」
橋口俊樹は電話を切り、鈴木越哉を見た!
鈴木越哉はカンカンだった。「俺を見るな、お前のくだらない問題に関わりたくないんだよ!」
「お前以外誰を頼るんだよ、お前は人脈が広いし、何でもお前のところに来れば解決するだろ!それに、山田映瑠もお前の女だったじゃないか!」橋口俊樹は正々堂々と言い放った。
「俺の女だった人は多いけど、何かあるたびに全部面倒見なきゃいけないのか?俺にそんな余裕あるわけないだろ?それに、彼女が頼ったのはお前であって俺じゃない。今は彼女はお前の女で、俺の女じゃないんだから……」
鈴木越哉は文句を言いながらも、結局は橋口俊樹のアパートを出て、彼のランボルギーニに乗り込み、警察署へ向かった。
「くそったれ、一晩中あいつの尻拭いをさせられて、もう寝かせてくれないのか!」
アクセルを踏み込むと、ランボルギーニは再び走り出した!
今夜のランボルギーニは忙しいね!
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夫婦が長期間別居している唯一の利点は、外で浮気をしたり、人を家に連れ込んだりしても、バレないことだ。
家に戻った石塚千恵は、茫然自失としてソファに座り込んだ。
財布も携帯も持たずに出て行ったのに、彼は最初から最後まで彼女のことを心配していなかったのだろう?
もし少しでも彼女のことを気にかけていたら、帰ってきて確認するはずだ。
不倫現場を押さえるためにでも。