第28章 軽蔑と軽薄さ

石塚千恵はフロントの女性の不思議そうな視線の中、エレベーターに乗り込んだ。秘書の案内で、社長室に入った!

個性的な広大なオフィスが彼女の視界に飛び込んできて、思わず感嘆せずにはいられなかった——

オフィスは150平方メートル以上あり、応接スペース、執務スペース、そして休憩スペースを含んでいた。

無垢材とスチールフレームの構造が完璧に調和し、硬と柔の美しさを十分に表現していて、シンプルでありながら豪華さと洗練さを失わない雰囲気だった。

すべて輸入された高級家具とオフィス用品は、持ち主の経済力と個人の趣味の良さを示していた。

特に深い色調は人の気持ちをリラックスさせながらも、仕事への意欲を掻き立てるものだった。

このオフィスは橋口俊樹が一方的に特定のスタイルを追求するよりも、ずっと心地よく見えた。

また彼のことを思い出し、石塚千恵は心の中で自分を自嘲した!

「オフィス見学に来たのか?」非常に深みがあり磁性を帯びた男性の声が、近くから響いた!

石塚千恵は急いで声の主を見た。「こんにちは、笹木社長!」

間近で見ると、彼が本当に背が高いことに気づいた。ゼニアのスラックスに包まれた両脚は長く、引き締まっていて、力強く格好良かった。白いシャツは彼の小麦色の肌をより健康的で魅力的に引き立てていた。彼の強い存在感に、彼女は呼吸さえ慎重になった。

「座れ」笹木蒼馬はソファを指さした!

石塚千恵は端の席を選んで座り、姿勢を正した。笹木蒼馬は反対側に座った。

「あの、笹木社長、これはあなたが落とした財布です!」彼女は急いで財布を取り出し、彼の前のテーブルに置いた!

笹木蒼馬はそれを一瞥もせず、むしろ礼儀正しくない視線を彼女に向けた。

「笹木社長、中身が足りないかどうか確認されませんか?」

「財布は俺のものじゃない。それは君もよく分かっているはずだ」ソファに寄りかかった彼の姿勢には少し怠惰さがあり、言葉には別の意味が隠されていた。

「笹木社長、あなたの言っていることが分かりません!」

石塚千恵は少し怒りを感じた。彼の表情には言い表せない軽薄さがあった。

特に彼の目つきは、人を尊重していなかった!

「分からない?それなら率直に言おう。君は単に俺に近づいて、スポンサーの件を聞きたいだけだろう!」